はじまりの言葉
成澤 和樹

今の今まで、
自分の口から出た言葉は、
自分の言葉であると思っていた。
定型の、お決まりの文句以外は、そうであると。
たとえばそれが詩であったり、
文学であったり、などと。

だがしかし、
結局は、
容易に分解されていくような私の言葉は、

借り物だった。

この子らも全て、借り物だった。
この、子ら、も、全て。
借り、物、だっ、た。

思想があったとしても、
心がこもっていたとしても。

そこから旅立ちたい。
これからは。
きっと。

未だ耳にしたことの無い言葉で、
心したことのある世界を、気づかせたい。
未だ目にしたことの無い言葉で、
心したことのない世界を、気づかせたい。
アメニモマケズに生きた人のように、
クラムボンのように。

はじまりの言葉。
ただの叫びかも知れない。
それでもいい。
音が音でなく、
言葉が言葉でなくなるまで、
何も聴こえなく、
何も見えなくなるまで

歩いてみたいんだ。
詠い人の道を。


自由詩 はじまりの言葉 Copyright 成澤 和樹 2005-08-07 02:36:42
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