芯実
たちばなまこと

熱帯夜 真夜中未満 体内温度をくぐって
ヒーローなんかじゃない不器用な男が
芯部でうごめくスイッチに アクセスしようとする

疑心暗鬼の力で やさしいふりで触れても
理性の不誠実さを あらわにするだけ
夢に逃げられない目尻に 易しい文字は流れている

何べんも押して 何べんも 何べんも
キックダウンの反撃に ひるんだりしないで
末端神経には伝えきれない 反射をハッキングして
何年もしまい込んで 何年も 何年も
使わずに錆びたスイッチを
ひび入ったって 欠けたって
踏み込んで 突っ込むような
荒っぽいやり方で 冷却水を届けて

異次元ではない場所の スイッチに目を向けて
欲しいのは データではない 五感
真夏の真昼 夢幻の現実
秘められた神幻地へ
守られた光 養分 手のひらの泉
届けて欲しい
時を呼ぶ 発光する命の種が 実を結ぶように

それは始まりにしか過ぎないけれど


自由詩 芯実 Copyright たちばなまこと 2005-08-06 21:11:48
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