水笛
木立 悟




何かを描こうとした手のひらが
冷たい膝の上にひろがる
消えてゆく言葉に涙するとき
ふいに指先に触れてくるもの


遠い雷
遠い花火が
水の笛のなかにあり
ゆうるりとゆうるりと吹かれている


鳥は照らされ 曇にきらめく
流れは止まず 青を埋める
遠去かる曇 近づく曇
空の洞の火をすぎてゆく


ひいらぎは聴く
ひいらぎは聴く
どこからかしたたるように生まれくる
白く小さな音を聴く


影の道はゆらりと曲がり
鳥は蒼く熱を放つ
ひとり消える笑みのなかには
遠い滴が鳴りつづけている







自由詩 水笛 Copyright 木立 悟 2005-08-06 20:22:17
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