うさぎのなかで
せんたく板




        もしも君が

        ような話みたくても

        生まれてしまうまでは

        うさぎのなかで待つんだね



        少年は、桶の水で顔を洗い、寒さはつま先より

        うすい純白の肌着を肩にぶら下げて

        ステンレスは、君のような僕を映すのだろう

        君はみたのかな



        音叉の中をただよう

        不快ともやすらぎとも言えぬ阿片の煙は

        虚仮の中でも

        気づかぬまま死ぬのもいいと思わせる



        パン屑をぽろぽろと落としても

        足の裏でそれを感じ取るまでは

        それはわからないまま



        ほこりよりも重いパン屑

        落下するまでは

        それはパンなのだ

        落下みたく、歩きたい



        走りたければ

        足の裏の指先は泣かなければならない



        いとしい、足



        親指から踵まで、裏にある全てよ

        柔らかくも硬い、その全てよ

        あなたが失われたら

        僕はいったいどこに存在すればいいのだろうか



        存在してはいけないの? 

        僕の

        愛しい

        足








自由詩 うさぎのなかで Copyright せんたく板 2005-08-06 11:10:10
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