灰 Ⅲ
木立 悟
つぐないの花に
光が降る 雨が降る
半透明の蜘蛛が
空を見る
何もかもが破けてしまいそうな
たくさんの鈴の音がする
名前の無いもの
にくしみを
とどまりすぎた風のように
もてあますもの
戯れ言のように
伝わらないしあわせを
もてあそぶもの
うっすらと頬を赤くした子が
誰も気付かない手を握る
冷えていく音のなかを
夜が夜にならないうちにと
指と指を確かめながら歩いていく
造花と鈴と
砂の光がひろがる
祭が過ぎたあとの道を
自由詩
灰 Ⅲ
Copyright
木立 悟
2005-08-06 06:38:54