ミラーハウスで
千波 一也
ミラーハウスで求め合わないか
前と
後ろと
右と左と
斜め、っていう曖昧な角度も
加えて
つまりはすべて
求め合う姿は
すべてに映るさ
求め合うふたりに
すべてを魅せるさ
理性なんていう逃げ道は
僕の腕で塞いであげるから
本能の瞳で
覗いてごらん
揺れて揺られて、なかなか焦点の合わない姿
きっとそれが
愛の答で
求め合うちからの凄まじさの前では
はなはだ無力な存在
なのかも知れないね
でも、
だからこそ知っておくべきじゃないか
ミラーハウスで求め合おう
唯一、床には何も映らないけれど
営みの痕が
そこに生まれた時間を
証明してくれるはずさ
物知り顔で
穏やかに
そう、
水鏡の気分で
ね