手を
船田 仰

雨上がり、計算されてない電線を見上げると
目覚ましなしで起きた朝みたいな気分がする
かえりみちもその途中もゆらめいて
似ているから不思議だ

並んでいる足のいちばんさきで
わたしたちはきっと似ているとおもう
くちびるやらお腹やらかかとやらが含む
たくさんの素敵を
あたしは目をつぶってつまむことができる
神樣は泣いてない
だってあたしの隣にいるから
手をあげろ

交差しないままで
必要、の権利を主張したらいいんだよ
それはかなしいことではない
ねぇ、手をあげろ
目をつぶって指先が冷えてもいいから
もたれた壁があったかくてもいいから
いいから

そこにある手を
見ていられるよ

手をあげて笑ったらいいんだよ
にやり
あたしはかみさまのピアノも涙もほんとうは知らない
笑って、そして、
うつむいて手を
かえりみちにつきさせばいい
蹴っ飛ばしてどんなかげも
















自由詩 手を Copyright 船田 仰 2005-08-05 19:53:52
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