海に行く
たもつ



海に行く
護岸の上でいつものように
体操をしているおじさんと挨拶する
釣り糸を垂れる
魚が一匹釣れる
魚を一匹殺す
やがて日が暮れたので帰宅する
途中おじさんはもういない
今日は一匹しか殺せなかった
妻に言う
もう止してくださいね
悲しそうな顔をして
妻は鶏の首を折っている
波がきれいだった
そう返すのが僕の精一杯
海が無いなら無いでそれだけのことなのだけど
明日も海はある
それはきっと確実なことだ
毎日繰り返される僕らの深呼吸よりも




自由詩 海に行く Copyright たもつ 2005-08-04 23:42:36
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