そよぐ光
木立 悟
川の向こうに
痛みが待っている
少女の姿をして
けだものの背にもたれて
得られないもののように笑い
届かないもののように立ち
詩わないもののように腕をからめる
けだものの首から生まれる羽
午後は過ぎて
川は金色
岸は青く
解け流れる
ゆうるりとけだものが振り返り
うすく目を閉じかけるとき
少女の器の手のひらから
世界はふたたびそよぎはじめる
自由詩
そよぐ光
Copyright
木立 悟
2005-07-31 06:43:58