新築祝いを送るよ
チアーヌ

昔男を取り合った女はわたしと正反対で
なんでまたそんなことになったのか覚えていない
わたしは余裕で調子こいてたから彼女を敵とみなしていなかったが
わたしがいろんなことに忙しく男をほったらかしていた間に
見事に取られていた
わたしは泣いた

そのあと女は手紙を寄越した
「ごめんなさい」と書かれていたが
その手紙の裏の意味を読み取れないほど
わたしはバカでもお人好しでもなかった
その手紙は勝ち誇った女の勝利宣言
ふざけんじゃねえよ
と思ったけど
黙って捨てた

遊び相手には困ってなかったから
適当にやっていた
彼女は彼一筋
まぁせいぜいラブラブしてくれ
と思ったけど
ほんとは彼の優しさが忘れられなくて
カラオケでは定番の失恋歌を歌って泣いた
なんかこうして自分で書いていてもバカみたいだな

ねちねちした女おんなした女が好きだったなんて知らなかった
せいぜい手編みのセーターでも喜んで着てろバカ
と冷静に思えるようになった頃
ふたりは別れたらしいと聞いた

もうその男には興味なかった
だってもっと素敵な彼ができたから

やっぱりあんな女わたしの敵ではなかったと
ひそかに胸を撫で下ろした性格の悪いわたしだったけど

今はしょっちゅうメールで話したりしてるよ
お互いに結婚して二人の子持ちになってしまった
「今度家を建てた」と自慢げなのが気になるけど
(どういい家なのかということを微に入り細に渡り)
もう大人なんだからまあいいか
新築祝いを送るよ

男がどこで何をしてるかというのはお互いに
「どうしてんだろうね」
「ねー」

そういうもんかもしれない



自由詩 新築祝いを送るよ Copyright チアーヌ 2005-07-29 13:03:16
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