岩と巻物
大覚アキラ

お爺さんは時速300kmで突っ走る直径10kmの鋼鉄製の球体に玉乗りしながら
火星から来た蜘蛛の群れを狩りに、
お婆さんは最新型の火炎放射器でストラトキャスターを燃やしながら
ステージ上で邪神の宣託をしていたらしい。
すると上空から紫の煙に包まれた水晶の舟が
爆音と共に舞い降りてきて、甲板には翼の生えた豚が何十匹もいたらしい。
お婆さんはラバーソウルで豚を蹴り殺し、
それを全部肉団子にしてお爺さんの帰りを待っていたらしい。
ところが、火星から来た蜘蛛の群れを狩って帰ってきたお爺さんは
翼の生えた豚の肉団子に失望し、
お婆さんをショットガンで蜂の巣にしてしまったらしい。
お爺さんは再び時速300kmで突っ走る直径10kmの鋼鉄製の球体に玉乗りすると、
丘のむこうに消えてしまったらしい。
後日、タンブリンマンから伝え聞いた噂によると、
お爺さんはクリームたっぷりの山羊の頭のスープが飲みたかったらしい。
とにかく、お爺さんはその後もずっと転がり続けているらしい。


自由詩 岩と巻物 Copyright 大覚アキラ 2005-07-28 02:46:16
notebook Home 戻る