遠い窓
木立 悟
かがやく小さな雲の群れが
夜の白をすぎてゆく
河口に 入江に
小さな舟がひしめきあい
薄いむらさきのなかで揺れている
雨を照らす手のひら
雨に照らされる手のひら
夜が大きく傾いて
水はもどり
水はおりる
小さく 小さく
空気をたたき 震わせながら
音を においを 見つめつづける
夜の明かりがこんなにもとどく
腕に静かにからみつく
声だけが草むらに集まる日
帰らない舟のむらさきに
光は遠く目をふせる
自由詩
遠い窓
Copyright
木立 悟
2005-07-28 00:51:14