明日にも明後日にもいつかはナイフを立てるのだろう
瑠音


ちゃんと誰かと向き合うことをやめた先週末
それた台風を恨めしそうにたどってみる指が
金曜の雨を思いださせる
死んだ言葉を弔うための言葉があるから
人はののしりあう言葉に困らない


あの時も
島まで泳いで行こうとしたわたしたちの中で
一番早く引き返したのはわたしだったじゃないか
あのころの夢を最近良く見てしまうから
ああ、今日も
あの日という一日にナイフを立てている
思春期なんてうまく飛び越えたはずなのに
無表情にすごしたつけがきてる
こんなところにきてる


いつか神様だと信じたものが今は見えなくなって
その代わり両手いっぱいのナイフで
自分を守ることに精一杯
そうよかみさま
守ってもらおうとするのはやめてしまった
あなたが裏切ったわけでもないのに
ただ信じられなくなったから


きっかけがなければ起きることもできない休日
昨日までの時間の流れは
今日の夜元に戻される
だから眠ってすごすのか
だけど眠ってしまうのか


眠る両手の中にはナイフ
自分の喉を刺しそうなほど
悪夢を見るのが怖いから
自分の喉を刺しそうなほど
いつでも突き刺せる準備
いつでも突き刺せる装備






自由詩 明日にも明後日にもいつかはナイフを立てるのだろう Copyright 瑠音 2005-07-26 12:38:10
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