トン トトン
大覚アキラ

祭りのお囃子が
近づいてくるのを聞きながら
冷たい床に頬をあてて
熱が奪われていくのを感じている

トン トトン トン トトン

水たまりに
髑髏が転がっていて
なぜだか知らないが
光を放っている

あの髑髏
誰のだろうか
一昨年死んだ
あの子だろうか
それとも
来年死ぬかもしれない
あの人だろうか

トン トトン トン トトン

お囃子は
床から響き
肉の層に伝わり
骨格を震わせながら
心臓まで這い上がってくる

水たまりで
髑髏がニヤリと笑い
誰のものかわからない
冷たくなった不安が
振動になって
羽音のように
鼓動のように

トン トトン トン トトン トン

ああ
停まった





自由詩 トン トトン Copyright 大覚アキラ 2005-07-25 17:41:30
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