天象儀と遊星
木立 悟
数えきれないほど多くの
手首のかたちをした炎が
夜の空をまわりつづける
見える夜 見えない夜を
讃えつづける
原を越える雨
石の絵文字に咲く花
森をまとった遺跡の前を
常も無常も通りすぎ
ただ止むことのないはじまりが降る
小さな偽の光のなかを
ほんとうの星がめぐりくる
色とりどりの灰色が
めまぐるしく空に浮き沈み
やがて白い雲に変わってゆく
光の底の月
明るい夜の雨
星を東へ連れてゆく
自由詩
天象儀と遊星
Copyright
木立 悟
2005-07-25 09:45:00