白濁の樹
こしごえ

いつのことだったか
おーきな木に寄りそって
声もなく泣いたのは

知ることのできた空は
果てを知らずに膨らむ奥行
しっとり流し目をすると
逃げ迷う合せ鏡の黒髪

時が来れば尽きる
温もりは循環して
その影を発光させる
直感的な灰色の鏡を
みつめるのは
およしなさいな

日に透けた葉脈の
木洩れ日に打たれる
ひとふさの髪がそよぐ

いつかの泣き声が
知らぬまに
胸のうちに実っていた


自由詩 白濁の樹 Copyright こしごえ 2005-07-21 15:20:12
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