良かれ、とついた嘘
千波 一也
少女のために
空き地のために
泥靴のために
良かれ、とついた嘘
自分の肩幅も
かえりみず
良かれ、とついた嘘
あの頃は
そうでもしなければ
苦しくて
自分の足でも踏み潰せそうなものを
置き去りには
出来なくて
良かれ、とついた嘘は
毎夜の潮騒
治りかけの傷ほど
かゆくてたまらない
良かれ、とついた嘘は
毎夜の潮騒
自由詩
良かれ、とついた嘘
Copyright
千波 一也
2005-07-21 09:16:16