電気を消して
みい


ベッドにうつぶせになって
すうっと体がのびた
魚になった気分
黒い海を
すうーっと泳いでるような気がしてたけど本当は
まな板の上で
最後のお願いをする
まず頭を切りはなすために
包丁、首からざくり
その次は腰がいいな
腰痛がひどいから

みっつに分けられたあたしの
頭をお吸物にぽちゃり
まんなかが味噌煮で
腰から下を塩焼きにした
それぞれ
本当に美味しく思ってくれる人が食べてくれた
あたしひとりを三人が食べて
あたしはみっつの胃袋に居る
それぞれのお腹の中で
あたし、わかってるよ
もう
海に帰れないことぐらいなら

毎晩
何も見えない黒い海で
デッドヒートばかり
戦っている相手さえ見えないで
よくやるな
でも見えてしまったら
もう泳げないもん

電気を消して


お昼ごはんに
鯛のお吸い物を作った
ずるずるとすするあなたの隣で
たまに気付くと呼吸が止まっていて
はっ 、と息を吐く
呼吸を忘れてしまうあたしは
昼間ちゃんと生きる資格が
いつも半透明で
恥ずかしいと思う



未詩・独白 電気を消して Copyright みい 2003-12-14 14:54:53
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