機械人間膺懲せよ
kw

ゲリラ兵に捕らえられた僕は
若きリーダーの男に
カラシニコフ銃を渡され
「お前の最も憎い者を打て」と
命ぜられ

超高層ビルの展望台に昇り
望遠鏡にコインを投じ
小さな人達を鳥瞰
ターゲットを探す

人種
職業
ジェンダー
カテゴライズされた
一連の記号を数えるが
生活水準を満たした日本人に
渦巻く感情があるはずもない

参政権を持て余した哀れな若武者よ
崩壊からの構築は
犠牲者の遺族に悔恨を残すだけ

己のこめかみに銃口を当てて
勢い良く引き金を引く
鈍い銃弾が脳髄を貫通し
薄れる意識で最後の思惟を

一時的な情熱に先導された
儀式に散るも悪くない
怒りも悲しみも安堵も知らぬ
機械の人生に疲れたよ

僕の死を契機に
口火を切ったゲリラ戦
無気力の人が輻輳し
大志ない混沌の世の始まり

首謀者が断頭台で延べた罪過
「人類に感情を取り戻したかった」


自由詩 機械人間膺懲せよ Copyright kw 2005-07-20 13:34:37
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