訪れない、その手前で
プテラノドン

街は、宣伝する車の謳い文句と、気にも止めない通行人を生贄にして
せり上がる暑さよりも、乾いた空虚さを従えていたので
僕等は、長い橋の上からきらめく水面を眺めている。
そこにありもしない目印を探して。それでいて、
すくいあげるものなど何もないが、二人、ズボンを下ろして
流すくらいの言葉はあるさと、笑い声、ふりまいて
飛沫を上げるもろもろの心象は、まぶしい水面をモデルに使った
それは、無数の浪の上澄みに交わる程度で
底に 沈まずに 刻まずに ずれていく、七月に君は
…尖っていないと大人になんてなれないよ、といって
土手でゴルフの練習をしていた男から盗んだクラブで、
道端の石ころを弾きながら歩く。
僕は、君が肩に乗せていた折れかけたクラブ―そのさきに、
やぶれた旗がかけられているようで
なんだかはかないと思っていた。
ラーメン屋へと向かう道の途中に、
飲み食いしていたその最中にも、のれんを上げて店を出て
美味しかったねと二人、煙草をぷかぷか
空へ、うかばせたときにもね。
そう!だから僕は、古河や小山の花火大会に期待しつつ
忘れないのはこっちの方と
さも知っているかのように、もうすでに
試験で合格したみたいな
好きな娘と付き合えたみたいな
馬鹿みたいな 馬鹿な笑いを
こらえきれないのだね。
八月の手前で―


自由詩 訪れない、その手前で Copyright プテラノドン 2005-07-20 05:49:26
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