オレンジの中で死ぬ
八月のさかな

 悔し紛れの薄闇は
 投げつけた卵の黄身のなかにかくれた
 まだ夜は知らない
 夕焼けばかり見ている

 今日はもう帰らない
 ビビッドは細胞を壊すの

 今日はもう帰らない
 太陽のしたにさらけ出されたら
 きっと永遠にわらえない

 はじめて知ったしあわせなかなしみは
 くるしいほどに甘ったるくて

 わたし
 橙があふれるようなこの透明の中で

 いますぐ死んでしまいたい



自由詩 オレンジの中で死ぬ Copyright 八月のさかな 2005-07-18 03:29:08
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