近日点
黒川排除 (oldsoup)

天啓を受けたかさもなくば不可解な石を削りだす途中の山の反り返って影になった部分に生息する
わたしの住所はアルファベットと三つの数字に連ねられて計算されるコンピュ−ター激しく動くコンピューター。
文明の発展は川沿いの林の、まさに木と木の間を抜ける荒れ地の元へ、
千二百年前のこの地へタイム・スリップしたとて受け入れない花の種の栄養価にエンゲル係数を加えて、
またも通り過ぎる夢のような車両が残す現実的な熱を育むコンクリートの分子構造
サロゲートマザーといえば何をさすか
いずれにせよ口を縛った袋を投げたら爆発するものの中へすべてを混在させたる外界の真空よ未だ愛しい。

真空またも真空の漆黒のつぶてを投げつける敵の姿が星雲にまぎれて輝く猿の全身を念写する能力の芽生え
眉間より波をうがつ電波が大雪で受信できない時震える体。選択し捨てた方を観測するマグニチュードの深み。
糸を垂らした釈迦の涙が降る土壌で次々と絶え果てる種の金属化した花弁が放射するメッセージへと読み込まれる
宇宙の彼方にもう一つ生命体があったことで結ばれることの無い指と指が互いに掘り返す同じ土

絶望らしからぬもののしらせ。
深すぎる穴は孤独を意味しない。
良かれ悪かれ形成される型は白銀の塔の代用品とし解決された欠落へなおも補われる物質の可塑性へ、
歴史を紐解く地層の分かれ目に似た岬は伸びたる手の孤立した指先の上に隔てた塔の光を浴びせている迷える船の舳先へ、またも大破し流れ着いた孤島の噴火の痕跡にたたずんで行き場を失っている冷めてしまった漂着物はかろうじて動物の手足を残し、孕んでいる下腹部に大型の屋根が取り付けられた日を記念して作られた祝日へ込めた意味の失われた彼岸へ進む旅路、畏れなく進むもの、日は流浪に退転し、行き場を元から失っている渦へ身を投げた崖に残る靴のソールのぬくもりから雲が湧き出して、辺り一帯に雨を降らせるように信じている、平和でうぬぼれた塔のすみびと。入り口を、どこへ作ったのだ?

言葉の中に孤立する体よ。汝であり我であるかのような屹立。

影の中に落ちぶれているのだ。
行と行の間に行いを見出してまもなく
虚ろであるかの如く衒っている困惑へ投下される墨汁
病に倒れているひと。病へ倒れてかかっているボイドの片文字
永遠の眠りのマニキュアを塗布して
不透明ビーカーを満たす病人の呻き、

完全の中の不完全の打ち出す鳥の骨格の節々の白さの流れの血流の固まりの反射の乱反射の光源の太陽のモチーフの平和の願いの延焼の絵画の美術館の被害の状況の報道のマイクのつながるコードの行く先の果ての原子力発電所の一号機の誤作動の試算のシステム。
家族のつながりのわたしたちの内部の責任の実体の露呈のやはり報道の実況の一千人の規模の
地球は存在するの答えられないの。
世界は美しいの

冷たい息を吐いて殻は閉じ永遠の冬を告げた森が中央へなぎ倒した木々を抱き更なる眠りを告げる冬
内部への旅が告別を目的としたコンセントレーションの頽廃した劣化した混在した足取り
道標を各々の元へ携えることが頭数への不当な見解だとして、
宣言するものの後ろで憎まれた手の中にたたまれたチケットほどの面積でうずくまりながら生きていた過去をポリエステルの生地に隠しながら
疑われぬことが何よりの心情として。今わたしの座標を静かに吐き出す山の名をなんと名付けようか

稜線に鮮烈に浮かび上がる飛空挺の動力を現在に求めるような
ありふれた知恵で、
ありふれた肉体
ありふれた事実
救いようのない諸事情の中
浮かび上がるレッテルの元
名付けられた名前
未だ噴火と堆積を繰り返し
蠢き
それらは蠢くように近付き
コールドストーン
遅すぎた堆積
ではなんとすれば良かったのか?
遠くに見える煙の筋
もはや目で追うことも出来ず
倒れ見る
あれが山の稜線だね!
絶えず変動する
世界のことは黙っておく
燃えた
あるいは矛盾した
地層の褶曲
のダンス!
舞踏により散らかされる踊り場
構造的建築物の脆弱性を指摘すれば
クリティカル
それがわたしの名前であるか。

飛び上がる鳥の目をどうしてわたしが得ることが出来ようか。
機械による掘削の末に導きだされる空想の機械のその衝突へ同時期に多発する衝突へ。

間隙既に打ち抜かれた間隙の距離の
繋がれ得ぬ土星は一個体のオブジェクトとして化学者の手の内へ、
変化の不在が裏と表を持ち見下された硬貨が沈む水面の波紋は夥しくただ広がり、
水面は静まり返り水底で跳ね上がり踊る泥が左右のパイプで循環する回数においても見られぬ疲弊の内にならされた土地へ耕作された一片のチップ状の計画書を腐敗させて。中空へただ過ぎ去る浮遊物を追いかける靴はちぎれて、水面を渡る時、おお確かに水を踏む足よ、踊らなければ沈むのは当然の摂理
沈黙のまま循環するダンサー
自然という概算された物理法則の戦ぐ葉を何の蠢きとするか、理解よ

崩落する崖の土・砂の色へ混入させたビリジアンのチューブは搾取され抛たれ名付けられた抜け殻の擬態。
森は死ぬ。

植物の匂いが充満する尖った緑の雲の上で前世紀から苛まれた天使が陽光の浴槽の温度に沈み下界を覗かんとこじ開けた雲に指を害されもはや何者をも束縛できぬ視線は接近した地面を見る。望まれ得ぬ接近が生み出す静電気が浮遊すると見る。おとなしく別れを告げた頂の急斜面から望む雲の流れは素早く、世界は球体を成す。球体の内部を成す。

転倒し収縮し始めた世界という質量が吸引し始めた命を巡らせる
根絶やしにされた絶滅種の動物の遺骨の燃える木材の中の芽生えは確かに求められたるもの、仕草、結果
報告書の細部に記載を漏らした流転の中に交わった事実は唯一の既存の可能性を追放した門扉の沈黙を容認する。
潜水の途中で呼吸を忘れると融解しその一欠片が夢を見た湖にかつての屍を浮かべて
幾多の思考が生み出したメートル法の基準の元での計測において胸のタグに数値を刻むナイフの欠けた刃の輝きを与える光源へ、
帰還後にも用意に拭うことのできぬ炸薬の匂いが導く道路の淵は転落した靴底に消耗した体力に屈服した重力に抵抗した飛翔に困惑した青空に散開した雨雲に鎮静した燃焼に誘引した木材に枯渇した溶剤に反応した警報に出動した兵員に発砲した銃口に冷却した洞窟に放置した寓話の構成を嵌め込み、
それは指輪であり、
目で追う限り永遠に終わらない紋様に時代の意図を沈黙に置き換える不可逆のトリミングを施したる事実が我々の「領地」を取り留めなく求めるような、かつての数値を飲み込んだまま押し込められた樽を積んだ船が海洋の知れぬ場所で漂う先に錨を打って、感傷の波紋の落ち所、不滅の演者の取りこぼし、残された台本に踊れるように燃え移る炎が水の上で爛々と蠢く炎が古代より設計された大陸へと押し流す引力でも遠心力でも、求めるほど遠ざかるような曲線の上で回っているような悲しみを捕らえて視点とする巨大な鳥の嘴の銜えている果実。

沈没する船の舳先へ南十字星を飾れ。


自由詩 近日点 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2005-07-15 01:03:00
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