寓話 不可解な死 10
クリ

1926年秋、驚異の脱出マジシャン、フーディーニの葬儀が行われた
友人の一人が「賭けても良いが、彼はこの棺の中にもういない」と言った
実は本当にフーディーニは棺の中にはいなかった
19世紀末に極秘に完成していた差分機関タイムマシンを使い
当時はまだ死因の上位を占めていた虫垂炎の治療を受けるべく
未来へと旅立って行ったのだ

2005年夏、ハンガリーに奇妙な物体が突如出現した
ある種の乗り物のように見えたが誰も乗ってはいなかった
中を調べた警官は英語の暗号で書かれた一枚の紙切れを発見する
"Rosabel Believe"

そのとき野次馬の中から、一人の男がよろよろと離れて行った

                   Kuri, Kipple : 2005.07.13


未詩・独白 寓話 不可解な死 10 Copyright クリ 2005-07-14 01:01:46
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