不実な肉
初代ドリンク嬢

緑色の蛇になった私の左手は
悪魔に魂を売り渡そうと
日々 画策している

私の目を盗んでは
悪魔の行方を捜し回っている

赤く先の割れた舌をちょろちょろと出しながら
夜な夜な
徘徊する

悪魔など
どこにいるのか
知らないくせに

蛇になった左手は
魂を売り渡す代わりに
どんな願いをかなえてもらうつもりなのだろう

私の心は左手にはないというのに
赤い月に照らされた
蛇になった私の左手は
私の知らない欲望を孕んで
夜の街を彷徨うから
私の体は傷だらけで
いつも寝不足なのだ

何も望んでいません
何も企んでいません
何の野望もありません

黄金の瞳で蛇は
赤い月を見る
私の方には目もくれない

多分

私は目をそらす

左手は蛇になってしまったけど
切り落とせば
血が流れて
痛いだろうから

蛇になった左手に引きづられるまま
夜な夜な
街を徘徊する


自由詩 不実な肉 Copyright 初代ドリンク嬢 2005-07-13 21:40:17
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