10分間のシンデレラタイム
淀君

今日も寒い中あの人を待つ。

わたしの『シンデレラタイム』は10分間。

あの人は6年間乗り続けている“サビてかごの曲がった自転車”でくるはずだ。

今時の高校生はここまでの自転車はのりたがらないだろう。

つまり彼は物持ちがいいのだ笑

そんな物にも誰にも優しい彼がすきだった。

それはそうと約束の時間を5分過ぎてる(泣)

わたしのシンデレラタイムは今日は5分か?

それでも腹を立てずにわたしは待つ。

寒さと戦いながら。

何たってあの人は自分の将来への夢へと踏み出すために

必死なのだから。

わたしはその夢の次の存在。

それでもいい。

わたしはそんな彼が大好きなのだから。

この10分間の『シンデレラタイム』の幸せがあるのだから・・・

シンデレラは魔法がとけたら幸せな時間が終わるのだから

シャリシャリシャリ

ほら!あの人がきた。

ホントににぶい音がするわよ。そろそろ変えたら?

いつまで待たせるのよ。

そう思いながらわたしは彼の元へ走る。

『シンデレラタイム』が終わってしまうから。





散文(批評随筆小説等) 10分間のシンデレラタイム Copyright 淀君 2005-07-12 05:02:14
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