10分間のシンデレラタイム
淀君
今日も寒い中あの人を待つ。
わたしの『シンデレラタイム』は10分間。
あの人は6年間乗り続けている“サビてかごの曲がった自転車”でくるはずだ。
今時の高校生はここまでの自転車はのりたがらないだろう。
つまり彼は物持ちがいいのだ笑
そんな物にも誰にも優しい彼がすきだった。
それはそうと約束の時間を5分過ぎてる(泣)
わたしのシンデレラタイムは今日は5分か?
それでも腹を立てずにわたしは待つ。
寒さと戦いながら。
何たってあの人は自分の将来への夢へと踏み出すために
必死なのだから。
わたしはその夢の次の存在。
それでもいい。
わたしはそんな彼が大好きなのだから。
この10分間の『シンデレラタイム』の幸せがあるのだから・・・
シンデレラは魔法がとけたら幸せな時間が終わるのだから
シャリシャリシャリ
ほら!あの人がきた。
ホントににぶい音がするわよ。そろそろ変えたら?
いつまで待たせるのよ。
そう思いながらわたしは彼の元へ走る。
『シンデレラタイム』が終わってしまうから。