雨の中で
フォマルハウト

空から落ちてくる
やさしいものたちへ

こうしていると
鮮やかに蘇るのは、きっと

傘を忘れ
唇を噛んで
トボトボ歩いた幼い日

胸を弾ませ
両手をかざして
友と駆けた青春の日

今日も同じ冷たさで
今日も同じ圧力で
わたしの全身に落ちてくる
美しい何万の雫たち

願わくは
途切れることなく
わたしを濡らして

この心から
この身体から
流れ出すのは
あのひとのまぼろし

わたしの涙が枯れるころ
鮮やかな
七色の虹の弧で
あたらしい明日を描いてみせて


自由詩 雨の中で Copyright フォマルハウト 2005-07-11 23:01:39
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