石を埋める
岡部淳太郎

道の途中
その曲り角の 節目ごとに
石を埋める
浅く
また深く
土を掘って
掘り出されることを予期せずに
宝石のように
ただの石を地に埋める

その上に霜が降りる
あるいは雨が降りる
空中浮揚者が
そっと降り立つ
だが旅人は先に行っている
もっと先の土地で
蚯蚓と百足の声を受けるためか
受け流すためか
曲がる度に石を埋めている

石を埋めて
それを墓とする
何者の墓
あらゆる旅人の
あらゆる水の行方の 墓
石は磨かれることなく
地の中で汚れながら
すべての思い出のために
押し黙る



未完連作「道祖神」


自由詩 石を埋める Copyright 岡部淳太郎 2005-07-10 19:48:54
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