ミッキーマウスの中身
大覚アキラ
当たり前のことだけれども、ディズニーランド(以下TDLと略)には、ミッキーマウスがいる。今では誰もが知っている話だが、あれは「本物のミッキーマウス」なのであって、決して人が中に入っている着グルミではない……と、いうことになっている。
TDLを経営している株式会社オリエンタルランドは、パレードの出演者やショップの店員いわゆる“キャスト”を募集することはあっても、「ミッキーやドナルドの着グルミを着る役」を募集することは、決してない。
聞いた話だが、ある熱狂的なディズニーファンが、どうしてもミッキーの着グルミを着る役がやりたくってオリエンタルランドに電話した。
「TDLのミッキーの役がやりたいんですど……」
「は? おっしゃることがよくわからないのですが?」
「いや、ですから、あのミッキーの着グルミを着る仕事が……」
「失礼ですがお客様、ミッキーは着グルミなんかじゃありませんよ。
本当のミッキーです。ミッキーにお会いになりたいのでしたら、
ディズニーランドにお越し下さい(笑)」
と、あっさりかわされてしまったらしい。
あんなにでっかくって、しかも直立二足歩行で英語ベラベラ喋るネズミが、本当にいるなら今すぐ解剖するべきだぞ、おい(笑)。
それはさておき。
ミッキー役のキャストを、おおっぴらに募集してないってことは、いったいどうやってその人選を行っているのだろう。気になる。
ぼくの想像では、きっとパレードの下っ端キャスト(どーでもいい役)で、いい動きをしている奴とかをプロデューサーみたいなオヤジどもがチェックしていて、モニターを見ながら、
「この子、一回やらせてみたらいいんじゃないですかね」
「う〜ん、イケるかもねぇ。
モリちゃん(仮名)、この兵隊役の右端の彼、チェック入れといて」
「オッケーっす」
なーんてやりながら、見こみのありそうな奴をリストアップしてるんじゃないかと思う。で、後日そいつを会議室あたりに呼び出して、
「今日はね、君に折り入って話があるんだが……」
「な、なんですか(やべー、こないだ遅刻したのバレたかな^^;)」
「……このところ、パレードの時の君のパフォーマンスを見せてもらっていたんだがね……」
「……はい(手ぇ抜いてんのバレた?)」
「なかなかいい動きしてるじゃないか、ん?」
「……(へ?)」
(肩にポンと手を掛けて)
「どうだ、今度、ミッキー……やってみるか!?」
「(えっ?マジ?)は、はいっ!やらせてくださいっ!がんばるっす!」
「そうか、じゃっ、あとはモリちゃんに指示仰いでくれ。
明日から忙しくなるぞ。覚悟しろよ!(笑)」
「はいっ! ありがとうございますっ!(涙)
おれ、日本一……いや、世界一のミッキーになって見せますっっ!!」
……ってなやり取りがあるんじゃないだろうか(ないない^^;)。
で、誰やねん、モリちゃん(笑)。