「開 放」〜ある水彩画作家の回顧展に
バンブーブンバ

スケッチが好きでした
絵画ではなく
スケッチが、
という人でした


鉛筆が好きでした
絵の具ではなく
鉛筆が、
という人でした


それなのに
画用紙は、嫌いだ 
というのです

あとでわかったことですが
画用紙がとても好きだった 
ようなのです



新雪に足跡をつけたくないような
そんな気持ちになるんだ
スケッチが好きなものだから
途方に暮れてしまうんだ



わたくしには よくわかりませんでしたが
こう申し添えたものです



あなたとわたし に似ておりません?
それでよいじゃありませんか


あの人ったら 面映そうに



そうか、画用紙はあくまで画用紙なのだな、


笑っておりました。



ここに私宛に遺してくれた一枚の画用紙があります

もちろんまっさらです

嬉しさ半分 寂しさ半分 なんですね

でもそれからなんです

水彩画を始めましたのは

あの人らしいなって 思ったんですよ





自由詩 「開 放」〜ある水彩画作家の回顧展に Copyright バンブーブンバ 2003-12-11 08:27:48
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