世界中の今時刻
チャオ

本棚のくもの巣が光った。
午後の朝焼けはきれいだ。
いつまでも沈まない湖畔はきれいだ。
台所のこうろぎが唸った

夜半過ぎの、混乱には間に合わない。
タクシーを呼び寄せた、彼女の腕は伸びない。
赤信号で通過した交差点で、
濡れた景色が目に映った。

霧雨の降らない町の
三階建てのアパートの一階。
焼きすぎた秋刀魚の匂いは
窓の外の駐車場で消えた。


自由詩 世界中の今時刻 Copyright チャオ 2005-07-06 17:23:20
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