埠頭
千波 一也


埠頭に
群れなす
カモメはすべて
哀しい心のなれの果て


船は今日も出てゆくのだ


海は広いというのに
のぞきこめない
瞳の深さをもって
船は今日も出てゆくのだ


乗れない者と
手を振る者と
うつむく者と
その
鮮やかすぎる不幸について
船はいつか振り返るだろうか


船は行ってしまった


埠頭に
群れなす
カモメはすべて
哀しい心のなれの果て



自由詩 埠頭 Copyright 千波 一也 2005-07-05 21:39:17
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