連作(1/3) 酒
岡村明子
梅雨の酒
コンクリートのベランダ
救急車は走り去る
建物はてんでに光る
がらくたを運ぶ音がする
空で泡が溶けていく
抜け殻を運ぶ男の
重い足取り
なめくじのように
軌跡を描きながら
疾走する
都市ネズミ
なまあたたかい風
柳の下の
ワンカップ
コンビニおにぎりの
包み紙
低空飛行のジェット機は
重い足取りの男
と
同じ方角に飛び去る
停滞する
梅雨前線
ワンカップに
たまる
雨
自由詩
連作(1/3) 酒
Copyright
岡村明子
2005-07-04 18:13:46
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