月の記憶
こしごえ

いずれ姿を消す
だろう月光
光を失った者の記憶には残ら、ず
されどその引力は
植物の枝葉しよう
昆虫の触角に
魚の尾びれに
爬虫類の肺に
鳥の翼に
哺乳類の脳に
空の風に
素的な透過を刻みつける。

太古からの
円周率的な恋路
時には
円く
丸く
まるく欠けては満ち
あなたの遺伝子を見守っている。

えにし
忘れることはない
あなたと
いつか見た月も
まるく

あなた
あなたはあなたの生き方を選び
わたし
わたしはわたしの道を選び
この中天には明らかに
あった。


自由詩 月の記憶 Copyright こしごえ 2005-07-04 15:37:33
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