夏のはじまりはいつも
ベンジャミン

みずいろの風に吹かれて

すこしだけ早まった鼓動が
うなずくように合図をしたら
それが夏のはじまりでした

手のひらでつくった影に
割り込むように差し込んでくる
陽の眩しさを避けて木陰をわたれば
つかのまの涼しさに
空はいっそう青さを増してゆきます

七月は
淡い匂いに包まれた
色とりどりの景色をうつす花色で
まるでキャンバスにのせた
絵の具が梅雨でとかされたようです

夏ですから
すっかり薄着になった
隠していた肌に風がふれれば
何となく
新鮮な気持ちになってしまうのはもう
あたりまえかもしれません

くすぐるような視線を感じて
いやおうなしに見上げてしまった

空は

昨日まで泣いていたことを
忘れたように微笑んでいます
  


自由詩 夏のはじまりはいつも Copyright ベンジャミン 2005-07-02 23:53:25
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