*黄昏まで47秒*
かおる

ゆうべのお日様と反対側の窓から
パリっと香ばしいクロワッサンとカフェオレを照らしていく
キッチンでは片手に乗るのからホームベースほどのお弁当箱に
基本は20品目の彩りと怒りと愛情をつめていく
そんなバタバタとした日常を置いてきぼりにして
また 薔薇色の朝が来た

一蓮托生の歯車のスウィッチが入った音を聴いた
ちょっとしたつまずきのドミノ倒しが
石ころひとつの些細な感じで転がって
どうかすると
野に咲く花として微笑んでいたり
ふとよそ見をしている隙に
落とし穴を掘っていたとして
気づく人が居るのだろうか

おしくらまんじゅうの通勤電車が行って還ってくる
むせぶ程の緑の原っぱに風が渡り
透き通る空の青さに包み込まれながら
小鳥とうたい
黄昏までのカウントダウン

くれない今日という日はないわけで

まちの遥か向こうでは
水墨画の中に溶けていくでこぼこの稜線が
玄関脇には
潤い知らずの空梅雨の緑に映えるあじさいの萎垂れていく色と
夕涼みに蓋をするように気の早い蝉がジジジと呟き

空が にやっと片目をつむった


自由詩 *黄昏まで47秒* Copyright かおる 2005-07-02 08:55:44
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