遠流
大山猫

黝い蔦 縊れた
果実は開眼した虚空
龍神の舌を裂いて決済する
仮面の哄笑
菩薩は燃やして仕舞おう
所詮 雨なのだから
兎の骨髄を小面が紡ぎ
樅の膚は藍に塗れる
砕けた僧が繕われ
雲母 侵食は
時ならぬ顕れ 陶土が
ほら、僕の魂だよ!
巨大な蜂の巣から龍が搾り出され
中止の警告音
背後が生きたまま冪乗され
遥かな歓声
百合が紅く爛れる護法 さあ
明日でもないのが顔を被る
安摩
背後から貫く白い過去
粘ついた花房
黒髪に残された夜の香
杉の切断面

神の蒼い肢体を波が食む黎明は鹽であり
静脈がしづかに発電する。


自由詩 遠流 Copyright 大山猫 2005-06-24 05:05:18
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