燕の子
A道化




しく、しく、しく、は
いつも夜で
いつも雨で


それらの夜の
それらの雨の
夏呼びの音が度重なり
しく、しく、しく、が、ひとつの
酷く暗い気体となり


ねえ、午後3時よりもむしろ
午前3時のほうが空腹だということ
訴えたいな、でも
わたしは大人で


良い子は眠るらしい時間に通学路における危険箇所にわざと立っても
しく、しく、しく、の、夜は、雨は、振り向きもせず地に落ちるので
嗚呼、私、訴える相手をわざと間違えてしまいそうだ、午前3時に
異物を飲み込んだまま夜の雨の夏呼びの音に乗じてひとこえ高くぴい、と
鳴いてしまいそうだ


そんな、しく、しく、しく、は
いつも夜で、いつも雨で
わたしは、大人で


2005.06.18.


自由詩 燕の子 Copyright A道化 2005-06-18 12:02:24
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