にぼしのジョニー
たもつ


池袋のスクランブル交差点
ど真ん中で俺は
釣り糸をたれる
ジョニー にぼしのジョニー
おまえはどこか
白い皿の上で美しく
干からびている
ジョニー にぼしのジョニー
おまえもかつては
遠くの海を泳いでいた
ここ十数年海で泳いでいない俺は
その悲しみを知らない
そもそもおまえに悲しみはあるのか
干からびた目の玉で
中空を見つめ
にぼしのジョニー
俺に釣れるのは
いつも季節感の無いものばかりだ
そう ジョニー
恋人のマリーは
おまえがにぼしになった後も
海を泳ぎ 海で躍動し
そして昨晩
海で力尽きた
ジョニー にぼしのジョニー
おまえの干からびた脳みそに
俺はかぶりつきたい!
俺が釣りをしているのは
いったいどこの池袋なのか
おまえが干からびている
その白い皿こそが
池袋ではないのか
ジョニー いわしのジョニー
俺もおまえも
この池袋から早く帰りたいのだ




自由詩 にぼしのジョニー Copyright たもつ 2005-06-16 22:38:28
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