ラストチャンス

ラストチャンスだ
神はいった
これはおまえにやるラストチャンスだ

お手上げですだ
右や左の旦那様
おいらにゃ信じるものがねえ
右往左往の道程でさぁ
もう痛い目はあいたくねえんだ旦那様

この指を見よ
神はいった
その指し示すところ
おまえはそこへ向かうのだ

真っ暗だ
目玉を置き忘れたような闇の中
何も聞こえねえ
ガタガタとおいらは震えるだけでさぁ
旦那様、旦那様

私を見よ
神はいった
全ての罪を悔いて明日を待つのだ

空っぽでさぁ
ミルクは器からこぼれちまった
おいらはずっと見ていたんでさぁ
地面にそいつが染み込むとこまで
ずっと見てたんでさぁ旦那様
最後の一滴まで

ラストチャンスだ
神はいった
これはおまえにやるラストチャンスだ

なにが神だ
おいらは神を信じねえ
今まで何処へおわしたので?
喉が嗄れるほど祈ったあの夜に

・・・・・・
もはやおまえに言う言葉はない

そうさおいらは中途半端な信奉者
出来損ないのパンのみみ
旦那様、これはお門違いな反乱だ
簡単に言えば逆恨み
この世に祈りがあるならば
呪いも口にしてもよかないか


・・・・・・

旦那様もおいらも同じでさぁ
目無しで後から理由を付けて
怒りに棹差し騒ぐだけ
もったいぶったペシミズム
この世にゃなんの意味も無い
何もいらない何もいらない
今更何が欲しいものか
旦那様あんたは何が欲しいんですかい?



自由詩 ラストチャンス Copyright  2005-06-11 10:34:20
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