コラージュの間に
ブルース瀬戸内

昨日、うちに迷い込んだ、

丸い目をした子猫が

夜の空の右側と

夜の空の左側を

不思議そうに交互に眺めていました。

空は相変わらず広いから

多少のものは描くことができます。

私たちと猫の観念も、

そこに投影できそうなくらいです。

でも私たちの観念なんて

どこかで拾ってきたものを

あっちこっちでつぎはぎしたコラージュで

最初にあったものなんて

ついつい忘れてしまいそうです。



コラージュとコラージュの間に

哲学がはさまって

それを後から見つけた哲学者が

ただ難解に揶揄するだけで時の人になったり

あるいはその様子を抽象画に昇華した画家が

派手に称賛されてしまったりするからか

気づけば、哲学はなくなっていました。



子猫がそれを探しているのかは分からないし

猫の観念がそこまでのレベルに及ばないのか

遥かに超越しているのかも分からないから

その仕草はかわいらしいという評価に落ち着いています。



その夜の星は

とてもキレイでした。

子猫の目に星が映っている様子が

私の目に映っていて、その一連は

なんだか壮大な観念の一端を垣間見るようでした。


自由詩 コラージュの間に Copyright ブルース瀬戸内 2005-06-08 00:18:56
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