暁景

僕の灯す篝火の元で、僕の見た原初は震えている。
砂よりも微かな寝息、遠く生まれ近くに死ぬ、星の名を冠し立つ人。
民のいない国を治める時、僕に出来ることはない。
震える指に触れるには老い過ぎて、ひとり冠を円に描く。
彼が与える力をかつて人は畏れ敬った。
此岸と彼岸の間に流れる永遠の河、夜の闇から溢れる一滴、
彼の約束を知らない、嗚、と叫んだ最初の小鳥。
落ちるより疾く駆ける、壊れた青空の瓦礫の上、人の子であるより生き、
神の子であるより思う、真実に従い属する獣。
僕を見る穏やかな目、朝の光にも夜の闇にも、僕は僕の姿をその目で見る。
彼はそっと手を伸べて、極彩色の冷たい貴石を嵌めた指輪を差し出すのだ。
終わろうとする神の世へのささやかな労いとして、
柔らかい新芽のような沈黙 開かれた門扉のような許し、
希望に満ちた人の子の愛と、それらの美しい虚しさが既に、
言葉ではないことの幸福を捧げて。


自由詩 暁景 Copyright  2026-03-07 14:52:42
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