あなたをおぼえておく
そらの珊瑚

きのう、ふった雨が
アスファルトをくろくおおっている
ひざしがあたれば
すこしずつ気化されて
雲になり
めぐる日々になり
(どこまでゆくんだろう)
なにごともなかったように
わたしたちは雨を忘れる

冬のひかりのなかに
春のひかりはうまれ
美容院までのみちのりは
きのうより、かるい

ただただ閑散としていて
なにもない、と思ってふと見た
あじさいの枝々のさきが
かたい新芽を置いている
いつしか花になる、そんな未来の時間を
こゆびのさきほどの
小さな容れ物に秘めて

水彩画の花をさかせる
たおやかなきせつになっても
たたずんでいる
このともしびの芽のかたちをおぼえておこう
わすれたとしても
おぼえておこう


自由詩 あなたをおぼえておく Copyright そらの珊瑚 2026-03-07 11:34:54
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