あなたをおぼえておく
そらの珊瑚
きのう、ふった雨が
アスファルトをくろくおおっている
ひざしがあたれば
すこしずつ気化されて
雲になり
めぐる日々になり
(どこまでゆくんだろう)
なにごともなかったように
わたしたちは雨を忘れる
冬のひかりのなかに
春のひかりはうまれ
美容院までのみちのりは
きのうより、かるい
ただただ閑散としていて
なにもない、と思ってふと見た
あじさいの枝々のさきが
かたい新芽を置いている
いつしか花になる、そんな未来の時間を
こゆびのさきほどの
小さな容れ物に秘めて
水彩画の花をさかせる
たおやかなきせつになっても
たたずんでいる
このともしびの芽のかたちをおぼえておこう
わすれたとしても
おぼえておこう