春の霧雨
伊藤透雪

季節外れに霧になって降ってくる
音も立てずに
信号機だけが明かす雨

空気が暗い
店の外灯がぼやぼやとし
雨脚が見えないまま
アスファルトを濡らして

春の雨は
雫のマスカラ
薄い頬の白さ
唇だけが命僅かに赤い

すっかり暗くなった頃
冷えた頬冷たい足
濡れた髪
温める家は遠い


あなたの両手があったなら
あなたの胸があったなら
あるいはもう少しだけ
温かい身体でいられた
だろうか




自由詩 春の霧雨 Copyright 伊藤透雪 2026-02-28 14:19:50
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