筋金入り
花野誉

小学生が喜びそうな話だな
と、思いつつ

夫は
かなりの頻度で
放屁する

生きてきて、此の方
こんなにする人に
出会ったことがない

恥ずかしかったのは
道を一緒に歩いていた時と 
電車に乗っていた時

他人のフリをしたかった

さすがに一度尋ねた
なぜ、そんなに多いのかと

「小学生の頃のあだ名は〝へこき〟だったよ」

嗚呼
そうだったのか
筋金入りだったのか

彼のソレには
長い歴史があるのだ

彼の椅子は
可哀想なくらい
彼の放屁を浴びている

「椅子が気の毒」
と、言えば

「たぶん黄色に変色してるな」
と、言う

茶色のシートなので
それはわかりませんけれど

演奏するかのように
する夫を
今日も隣で眺めている








自由詩 筋金入り Copyright 花野誉 2026-02-27 20:21:58
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