いつかの少年
森田拓也
人はみな大人になれば見失う
心の中にドラえもんいて
この〇が塗り潰されて●になる
それが大人になるということ?
雷が止んで本棚ふと見れば
一茶の文庫倒れてました
答えなき事つぶやけば神様の
返事のように粉雪が降り
信号が変わりかけても突っ込んで
行けた青春 いまは中年
逆立ちをしても届かぬ好きな娘に
キス出来ずともスキと言いたい
花でなく一人静の名を摘めば
野原にはもう誰もいなくて
ボスという強そうな名の老犬を
起こさぬ様に通る犬小屋
電話帳手繰りて一人ずつ覚ゆ
ひとり残らず愛する為に
眠れずに天井見つつ真夜中の
迷子のような雨を聴くだけ