塩っぱい足あと
伊藤透雪
あつさにあてられて
からからに乾いて枯れていく
色んな人と交わり
同じ空間を囲んで
色んな話をしたり
時には
脛を合わせて囁いたり
口づけしたり
皮膜一枚の温もりに
互いを重ねたりしたけれど
花はしぼみ
実をつけない
歪んだ時間だけ
振り子が繁った
その後
殆どの時間をひとりにし
自分が選んだ道の末
道の途中か
迷子になって
とにかく汗が流れる
口元に落ちてくる雫
はゆるく唇を舐めて
塩気を残していく
それから
べたべたした汗をかく
こわばり塩気いっぱいになる
見知らぬ人たちに溢れた街角で
クラクラでガタガタで
座りたいけど座れなくて
吐き気まで催してくる
人の流れは淀みを押して
通り抜けようとすると
端からこぼれ落ちる中に
私は溺れていくんだ
苦い汁が鼻から喉に落ちてくる
それでも
ひとりをけして悔やまない
枯れたら枯れたなりに
付けた花の色を
逆さまにして
部屋に飾っておけば
姿見には映える
今
風雨に晒されながら
自分の速度で
歩くとわかる
自分らしく生きること
さらさら汗をかいたら
今日は気分のいい日いい光
家に帰ったら
からからの喉を潤して
しわしわの目を開けよう
じわじわ細る自分を擦って
時折昔話を転がして
静かな笑みを
窓から見よう