小説の習作 原稿用紙三頁 #13
田中教平
今朝、ユウスケが目覚めたのは七時頃だった。こんな遅い目覚めは久しぶりだった。
彼は寒いので朝湯に浸かろう、と考えた。
しかし、妻のカナがあれをしてくれ、これをしてくれ、と云う。彼女の小説の原稿が、上手く印刷できないらしい。
「三回も、四回も印刷しているけれど出ないのよ」
「そんなブラウン管のテレビじゃないんだから、叩けばなんとかなる類のもんじゃないよ」
「だってできないんだもん」
ユウスケは設定、から印刷状況を確認した。実際は九回も印刷指示が出ていた。
ユウスケは印刷指示の出し過ぎが、ネットワーク間の負担になっていると考えて、印刷指示を全て、取り消した。
そして印刷をした。プリンターから原稿が出てきた。
ユウスケ、彼は他に彼女のスマフォのアプリの設定などしてあげてから風呂に入った。
今朝は酷く濃い夢を観ていた事を思いつつ湯に浸る。
場所は事業所だった。お弁当のやりとりをしている。そこに或る友人が現れた。その友人のポケモンの話をしたような気がする。夢に音声があるのかどうか謎であった。
熱い湯を浴び、それから冷水シャワーを浴びて、浴室を出た。服はこざっぱりしたものを着て、又、書斎に戻った。
カナ、彼女がアイスコーヒーを用意してくれた。ユウスケはアイスコーヒーで薬を服してしまった。
ユウスケ、彼は先の或る友人がなぜ、夢の中に出てきたのか考えた。その友人が何か、じぶんに訴えたいのかも知れぬ。非常にスピリチュアルな話であるが、彼はそうではないかと考えた。或いは全くの見当はずれでも良かった。何より無事、生きていてくれれば、と思った。そういう面で、ユウスケは自分自身を冷酷であると評価した。
彼は夢の連想から、ポケモンに関するものを何か所有していないかとクローゼットを開けて、色々捜してみた。何も無かった。
初代ポケモンの赤、はユウスケが小学二年生の頃、祖母に買って貰った記憶があるが、そのソフト単体でいえば、単純に面白いゲームであった。それが今でも脈々とその歴史を紡いでいるとなると彼は複雑な心境になった。
ポケモン、赤、緑、なら赤、緑で終わっていて欲しかったのであった。ユウスケは今のポケモンを知らぬ。ゲーム嫌いになっていて、パソコンの将棋とソリティアはたまにする、位であった。
夢の印象が、いつまでもいつまでも続けばと、彼はそれを原稿用紙に書いていった。快と不快がないまぜになったまま、この朝を過ぎようとしていた。