JAM
リリー
憤りのままに
閉めてしまった冷蔵庫の中で
ビンのぶつかりあう音
微細なひび割れでもあったのか
ジャム瓶だけが割れた
ねっとりしたトパーズ色と
雑ざって宝石の様に耀う
硝子の破片
数日前、手間暇かけて作った逸品が
駄目になったことなど
頭から消え去り
憤懣の負の波紋からも解き放たれて
あるがままのジャムへ
目を奪われる
昼ちかく
窓辺でぼんやりと屈折する陽ざしに
誘われて見下ろす
鉄道沿いの歩道の往来
裸の枝を晒す桜の木々に
空はやさしい呪文をとなえている
その薄片が、私の貧しい一日の
隙間にも充ちてきて