『三郎沼の守り火』  第六章:守り火の下
板谷みきょう

人々が夜空の星を拝んでいる頃。

山奥の誰も立ち入らぬ湿地で、
三郎の体は
静かに泥へと溶け込んでいった。

星は高く、人々が空を見上げて
感謝を捧げるたび、三郎の生身の真実は、
より一層深い暗闇へと追いやられていった。

星になったという伝説は、三郎の“痛み”を
隠すための蓋でしかなかった。

三郎の名を呼ぶ風は、
もうどこにも吹いていない。

ただ、泥の中に沈んだ“無言の重み”だけが、
村の平穏を泥沼の底から支え続けている。


散文(批評随筆小説等) 『三郎沼の守り火』  第六章:守り火の下 Copyright 板谷みきょう 2026-02-11 09:50:14
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