『きつねの襟巻、人魚のうた』 第四章:龍にならなかった蛇
板谷みきょう
世界に欠けが生まれたころ。
屏風山の青蛇は、
それを正そうとしました。
すべてを知る龍になれば、
道は見えると思ったのです。
蛇は身を削り、
荒れる海を越えようとしました。
けれど海の前で、
蛇は立ち止まりました。
龍になるとは、救えぬものを、
救えぬまま見送ることでした。
蛇は、その道を選びませんでした。
神にもならず、
世界も変えられず、
入り江にとどまりました。
そうして蛇は、
泣く者のそばに坐るのでした。
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